退職まであと3ヶ月:3月、ついに「伝える側」になった

退職日記
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現在は2026年3月。退職まであと3ヶ月。

年度末の忙しさの中、私はこれまでと違う緊張感を持って3月を迎えました。いよいよ、部下への内示を伝えるタイミングがやってきたのです。そして今月は、業務面だけでなく資産面でも大きな不安が重なる月になりました。

「私、どこにもいないですよね?」

来年度の組織体制を管理職に説明する場を設けました。新しい部署の編成、メンバーの配置を説明しながら、ふと気づかれます。

「あれ…もも吉さんはどこにも所属してないですね?」

そうです。来年度の組織図のどこにも、私の名前はありません。隠し続けてきた事実を、ついに言葉にするときが来ました。

「実は、6月末で退職する予定なんです。」

「内示より、そっちの方が驚きです」

伝えた瞬間、管理職たちの反応は一様でした。「内示の内容より、もも吉さんの退職の方が驚きです。」そして、次々と言葉が続きます。「なんで?」「今まですごくやりやすかったのに。」「一緒にこれをやっていきたいと思ってたのに。」

私はただ、その言葉をひとつひとつ受け取るしかありませんでした。嬉しくて、悲しくて。返す言葉を探しながら、ただ頷いていました。

伝え方を考えた:管理職以外は各管理職から

内示の伝え方については、一つ判断をしました。管理職以外のメンバーへの説明は、各管理職から行ってもらう、という判断です。

私が直接全員に伝えると、「私が辞める」という情報が前に出すぎてしまいます。本来は来年度の組織体制が主役のはずが、余計な不安や混乱を招いてしまいかねない。部下たちには、まず来年度の自分たちの状況を正面から受け取ってほしかった。そういう思いがありました。

他部門から届いた言葉

内示の情報が広まるにつれ、他部門の方々からも連絡が届き始めました。「辞めちゃうんですか?」「一緒に仕事してて楽しかったのに。」「うちの仕事を一緒にやりませんか。」ありがたい言葉ばかりでした。

正直、少し心が揺れ動きました。「もう少し続けてもよかったんじゃないか」「まだやれることがあったんじゃないか」——そういう思いが、またひょっこり頭をもたげてきます。でも、後戻りはできません。自分で決めたことを、しっかりやり切るしかない。その思いを、もう一度自分に言い聞かせました。

年度末の業績:これは最後まで手を抜かない

3月は年度末です。私の気持ちがどれだけ複雑であろうとも、目標を達成するために動くこと——ここだけは変わりません。部下たちは年度末の追い込みで忙しく動いています。私もその先頭に立って、粛々と仕事を進めています。

スケジュールの空白と「形式上の出席」

一方で、来年度に向けた業務はほぼなくなりました。会議の予定が減り、スケジュールに空白が目立つようになっています。来年度の会社方針の説明会議には形式上出席しますが、もう完全な「当事者」としての感覚はありません。「会社はこれから変わっていくんだな」という期待は持ちながらも、一歩引いた場所から見ている自分がいます。

空いた時間を「次の準備」に使い始めた

業務時間に空きが出てきたこの時期を、退職後の準備に充てることにしました。

やったこと①:人間ドックの申し込み
4月〜6月の間に受けられる健康診断・人間ドックを早急に予約しました。在職中のうちに受けておくことで、費用面でもメリットがあります。

やったこと②:福利厚生の使い切り計画
4月に新たに付与される福利厚生の助成金について制度内容を再確認し、退職までにすべて使い切ることを目標に計画を立て始めました。会社の制度は、在職中にしか使えないものが多くあります。「もったいない」を残さないために、しっかり棚卸しをしています。

もう一つの不安:資産が揺れている

3月の私には、業務以外にもう一つ、頭から離れない不安があります。資産状況です。2月下旬からアメリカの軍事・政策動向を背景に、相場が不安定になってきました。保有しているリスク資産の残高は、2月から3月にかけて目に見えて低下しています。

投資をしている以上、ある程度の変動は覚悟の上です。頭ではそう分かっています。でも、今のタイミングだけは話が違います。退職前後の暴落は、通常時の暴落とはわけが違うのです。

「具体的な数字とシミュレーションは資産状況記事へ」

なぜ「退職前後の暴落」が怖いのか

投資の世界には「シーケンス・オブ・リターン・リスク」という概念があります。簡単に言えば、資産を取り崩し始めた直後に暴落が起きると、資産の枯渇リスクが跳ね上がるというリスクです。

積み立て期間中の暴落であれば、安く買い増しができるためむしろチャンスになります。しかし取り崩しフェーズに入ったタイミングで暴落が重なると、安値で資産を売りながら生活費を賄うことになり、回復相場に乗れる資産が大きく減ってしまいます。私の場合、6月末の退職直後がまさにその「取り崩し開始のタイミング」です。

相場の回復を願いながら、できることをする

今の私にできることは限られています。リスク許容度の範囲内で資産配分を再確認する、当面の生活費分は現金で確保しておく、暴落時に焦って売却しないメンタルを維持する——こうした基本に立ち返りながら、引き続き状況を見守っています。6月末の退職までに、相場が落ち着いた状況になってほしい。それが今の正直な願いです。

いつもと違う年度末

毎年この時期は、来年度の計画や目標に頭をフル回転させていました。でも今年の3月は違います。部下に退職を伝えた緊張感。「なんで辞めるの」という言葉を受け取るたびの揺れ。空白のスケジュール。揺れ動く相場と資産への不安。そして、静かに進む退職準備。いくつもの感情が重なる3月を、静かに、でも確かに前に進みながら過ごしています。

「自分で決めたことだから。」3月の私を支えているのは、その一言だけかもしれません。

同じ状況にいる方へ

退職を決めた後も、上司や管理職としての役割はすぐには終わりません。むしろ退職が近づくほど、「伝えられないことを抱えながら仕事をする」という場面が増えていきます。同じ立場を経験している方、またはこれから経験するかもしれない方へ、3月を通じて思ったことを正直に書いておきます。

  • 完全に誠実でいることは、できません。
    全部話せない状況で、完璧な誠実さを求めると、自分が壊れます。「今できる範囲でちゃんとやる」——それだけで十分です。
  • 仕事の質を下げないことが、今できる誠意です。
    言葉で伝えられない分、目の前の仕事を丁寧にやりきること。それが残していく人への、唯一の誠実さだと思っています。
  • 書くことで、少し楽になれます。
    「言えないこと」が増えるほど、内側に圧が溜まります。誰かに話せないなら、書いて外に出す。このブログを続けている理由のひとつです。

次は 2026年3月30日:部長最後の月曜日。悲しくはない、でも寂しい

著者プロフィール
もも吉

33年間、IT企業で技術職・管理職として働いてきました。神奈川県在住、妻と大学生の子と3人暮らし(もう1人の子は社会人として独立) 2018年から投資を始め、資産形成を続けてきましたが、役職定年・職場での消耗・健康寿命への意識が重なり、2026年6月に56歳で早期退職することを決めました。このブログは、その決断と準備の記録です。

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