退職を機に、保険を根本から見直しました。
「もしものとき」を考えて入った保険が、本当に今の自分に必要かどうか。感情ではなく、数字と制度を軸に整理した結果をお伝えします。
生命保険の考え方:「誰が」「いくら」困るかで決まる
生命保険を考えるとき、最初に問うべきことはシンプルです。「もし自分が亡くなったとき、経済的に困る人はいるか?」この問いへの答えがYesなら、「その人にいくら必要か」を計算して入る。答えがNoなら、生命保険は不要です。それだけのことです。
ここで見落としがちなのが、遺族年金の存在です。国民年金や厚生年金に加入していた場合、配偶者や子どもには遺族年金が支給されます。超ざっくりと言えば月額10万円前後が支給されるケースが多いです(正確な金額は加入状況・家族構成によって異なります)。つまり保険で補うべきは「遺族年金だけでは足りない部分」だけでいいということになります。
これを踏まえて私が選んだのは、収入保障型の掛け捨て生命保険です。万一の際、65歳まで毎月10万円が支払われる内容で、保険料は月4,000円。遺族年金の支給を前提に「それでも不足する分を補う」という設計にしたことで、高額な保険料を払わずに必要な保障を確保できています。
貯蓄型保険は「コスパが悪い」という現実
生命保険を選ぶ際、貯蓄型保険を勧められることがよくあります。貯蓄型とは保険と投資が一体になった商品で、「死亡保障を備えながら、積み立てもできる」という謳い文句が多いです。しかし仕組みを理解すると、コスパの悪さが見えてきます。保険部分と投資部分が一体化しているため手数料(コスト)が割高になり、同じお金を「掛け捨て保険+自分で運用」に分けた方がトータルで効率がよいのです。
私の考え方はこうです。「保険は保険、投資は投資」で分けて考える。リスク許容度に合わせた投資と、必要最低限の掛け捨て保険の組み合わせが、コストパフォーマンスの点で優れている。貯蓄型保険は一概に「悪い商品」ではありませんが、手数料という見えにくいコストが乗っていることは知っておくべきです。
医療保険:公的制度を理解すれば「不要」と判断できる
私は現在、民間の医療保険に入っていません。その理由は、日本の公的医療保険制度の充実にあります。
日本には「高額療養費制度」があり、1か月の医療費の自己負担額に上限が設けられています。収入によって異なりますが、多くの方は月額10万円前後が上限になります。どれだけ高額な治療を受けたとしても、1か月あたりの自己負担はこの金額以内に収まります。
さらに会社員が加入する健康保険組合には「付加給付」という制度がある場合があります。高額療養費制度の自己負担上限よりもさらに低い金額まで補填してくれる仕組みで、たとえば「月3万円を超えた分を補填」という設定の組合であれば、実質的な自己負担は月3万円程度に抑えられます。付加給付の内容は健康保険組合によってまったく異なるため、まずは自分の健康保険組合に確認することをお勧めします。
実際に、知人ががんで入院・手術をした際、医療費の自己負担は50万円にも届かなかったというケースがありました。手術・入院・抗がん剤治療を含めてもこの金額です。民間の医療保険で備えるよりも、「医療費用として数十万円の貯金を持っておく」という対策だけで十分に対応できる可能性が高いです。
不安を煽る広告に惑わされない
「もしがんになったら?」「先進医療は保険対象外では?」——医療保険の広告は、不安を刺激するものが多くあります。しかし冷静に数字を見れば、「実際にどのくらいお金が必要になるか」は想定より低い場合がほとんどです。「不安だから入る」ではなく、「実際にいくら必要で、公的制度でいくらカバーされるか」を計算してから判断する。これが私の保険に対するスタンスです。
私の保険構成まとめ
| 保険種別 | 現在の状況 | 理由 |
|---|---|---|
| 生命保険(収入保障型) | 継続(月4,000円) | 万一の際、65歳まで月10万円を保障。遺族年金と合わせて必要最低限をカバー |
| 就業補償保険 | 解約済み | 退職後は「働けない=収入損失」というリスク自体がなくなるため |
| 医療保険 | 未加入 | 高額療養費制度+付加給付+医療費貯金で対応可能と判断 |
| がん保険 | 未加入 | 同上。公的制度の範囲内で対応できると判断 |
保険を見直すための3ステップ
まず「誰が、いくら困るか」を書き出します。家族の生活費・教育費・住宅ローン残高など、具体的な金額を計算します。次に公的制度で補われる金額を確認します。遺族年金・高額療養費制度・健康保険組合の付加給付など、すでにある安全網を把握します。最後に差額分だけを保険でカバーします。不足する部分だけを掛け捨て保険で最低限補います。
「なんとなく不安だから入り続けている保険」を一度見直すだけで、月数千円〜数万円の固定費削減につながる可能性があります。保険の見直しは難しく感じますが、考え方の軸を「感情」から「数字と制度」に切り替えるだけで、判断はずっとシンプルになります。
固定費削減が気になる方は、「モバイル回線の見直し術」もあわせてご覧ください。

