「退職しても資産はもつのか」を調べるために、私はこれまでいくつもの無料シミュレーションツールを試してきました。今も使い続けているのは3つで、それぞれできることがはっきり違います。この記事では3つを比較したうえで、最初の1本としておすすめしたい三菱UFJアセットマネジメントのツールを詳しく紹介します。
早期退職を本格的に考え始めたとき、まず向き合わなければならなかったのが 「自分の資産は本当に老後まで持つのか」という問いでした。
貯蓄額は把握していても、「それが何年分に相当するのか」「運用しながら取り崩せば何歳まで持つのか」——そういった具体的な数字が、まったくイメージできていませんでした。感覚だけで「大丈夫だろう」と判断するわけにもいかず、かといって、どこから手をつければいいかも最初はわかりませんでした。
まず結論:3つを目的で使い分けています
いろいろ試した結果、いま私が使っているのは次の3つです。どれか1つで完結するものではなく、できることが違うので使い分ける、というのが今の結論です。
| 三菱UFJアセットマネジメント シミュレーション・ツール | 三井住友信託銀行 スマートライフデザイナー | 生成AIによる試算 | |
|---|---|---|---|
| 費用・登録 | 無料・登録不要 | 無料・登録あり (メールアドレス/パスワード/生年月日) | 利用するAIサービスによる |
| いちばん得意なこと | 積立・一括・取り崩しの 純粋な資産計算 | ライフイベントを もれなく拾う | 前提を細かく決めた 個別の試算 |
| 相場の振れ幅 (暴落シナリオ) | 出せる 楽観・中央値・悲観の3本を表示 | 出せない 設定した年利どおりに進む前提のみ | 出せる (条件の指定しだい) |
| ライフイベント (教育費・介護・リフォーム等) | 扱わない | チェックリスト式で網羅 | 自分ですべて指定する必要あり |
| 実在するファンドで試せるか | 試せる eMAXIS Slimなど最大5本を組合せ | 試せない | 試せない |
| 前提の自由度 | 決まった項目のみ | 決まった項目のみ | 自由 |
| 手間 | 小(数分) | 中(入力項目が多い) | 大(前提を自分で用意する) |
※生成AIは「無料ツール」とは言い切れないため、参考として並べています。無料の範囲で使えるサービスもありますが、条件は各社の規定によります。
私が使っている順番
- 三菱UFJのツールで骨格をつかむ/登録不要で数分。「毎月いくら取り崩せるか」「悲観シナリオでも持つか」をまず把握します。ここで前提の感覚が身につきます。
- スマートライフデザイナーで抜けを見つける/教育費・リフォーム・介護・年金の受給時期などを順に入力していくと、「これ考えていなかった」という項目が出てきます。実際に入れた条件と結果はこちらの記事に書きました。
- 生成AIで細部を詰める/1と2で前提が固まってから使います。2070年までの44年分の試算はこの段階でやったものです。
順番を逆にすると、たいてい迷います。いきなり生成AIで細かく詰めようとしても、「どんな前提を置けばいいか」「どの数字を優先して見ればいいか」が分からないからです。私も最初にそこでつまずきました。
ここから先は、この中で最初に使うべきだと思っている三菱UFJアセットマネジメントのツールを詳しく紹介します。
そんなときに最初に出会い、今でも手放せないのが、 三菱UFJアセットマネジメントの「シミュレーション・ツール」です。
▶ https://www.am.mufg.jp/tool/
私がこのツールを使い始めたきっかけ
資産シミュレーションを本格的に始めたのは、早期退職を視野に入れ始めた2024年頃でした。
「5000万円を目安に資産を形成できれば、早期退職できるかもしれない」という感覚はあったものの、それが本当に正しいのか、どのくらいの積立額と期間が必要なのかが、まったくつかめていない状態でした。
そこで目にしたのが、このツールです。
- 登録不要・完全無料
- シンプルな画面で、直感的に使いやすい
- リスク(価格変動)を考慮した現実的な試算ができる
この3点だけで、まず「試してみよう」という気持ちになりました。
ツールでできること:4つのシミュレーション
このサイトには、大きく4種類のシミュレーション機能があります。
① つみたて投資シミュレーション
▶ https://www.am.mufg.jp/tool/simulation_tsumitate.html
毎月コツコツ積み立てる「積立投資」向けのシミュレーションです。
入力するのはシンプルな3つ。
- 目標資産額(例:5000万円)
- 投資期間(例:20年)
- 想定リターン・リスク(例:年率7%・15%)
これだけで、「毎月いくら積み立てれば目標に到達するか」が自動計算されます。

- 画面は三菱UFJアセットマネジメントの「シミュレーション・ツール」より
逆算も可能で、「毎月積立額が決まっているなら、何年で目標に達するか」なども簡単に試せます。
私の場合、インデックス投信を中心に積み立てる前提で「5000万円という目標を、あと何年で達成できるか」を検証しました。画面上で数字を動かしながら、「これなら退職のタイミングが見えてくる」と初めて感じた瞬間でもありました。
② 一括投資シミュレーション
▶ https://www.am.mufg.jp/tool/simulation_ikkatsu.html
すでに一定の貯蓄・資産がある方は、こちらのシミュレーションも有効です。
- 初期投資額(例:3000万円)
- 投資期間(例:10年)
- 想定リターン・リスク(例:年率7%・15%)
を入力すると、市場の変動を加味した複数シナリオでの資産推移が確認できます。
ツールで楽観・標準・悲観のケースを見られたことは、私にとって便利でした。ただ、代表的な悲観ケースは「最悪の場合」ではなく、その線で資産が残ることが将来の保証にはなりません。

- 画面は三菱UFJアセットマネジメントの「シミュレーション・ツール」より
私の場合、既存の貯蓄を入れた条件で、「2070年まで持つ」「悲観ケースでも資産が残る」という表示を見て、不安がやわらぎました。退職の判断を支えた体験です。ただ、当時のこのツールの入力・出力は今回の資料では確認できず、将来を保証できるわけではありません。退職前の試算やその後の再試算も、当時の判断の記録として紹介しています。
③ 取り崩しシミュレーション
▶ https://www.am.mufg.jp/tool/simulation_torikuzushi.html
早期退職者にとって最も関心が高いのが、「退職後、毎月いくら取り崩せるか」という問いです。
このシミュレーションでは、
- 資産の初期額(例:5000万円)
- 取り崩し開始年齢(例:60歳)
- 取り崩し期間(例:30年)
を入力するだけで、毎月の取り崩し可能額の目安が出てきます。

- 画面は三菱UFJアセットマネジメントの「シミュレーション・ツール」より
逆に、「毎月35万円を取り崩したい場合、資産はいくら必要か」「その場合、何年で枯渇するか」といった逆算も可能です。
私の場合、月35万円の生活費を想定した場合に、退職時点の資産で何年間まかなえるかを確認しました。リスクを考慮したシナリオが複数提示されるため、「4%ルールのような取り崩し率が自分の資産に合うかどうか」をチェックするのにも最適です。「頭でわかっていた4%ルールが、自分の数字で初めてリアルになった」という感覚がありました。
④ 投信実績シミュレーション
▶ https://www.am.mufg.jp/tool/simulation_jisseki.html
より深く確認したい方には、この投信実績シミュレーションが役立ちます。
- 実際のファンド(eMAXIS Slim S&P500など)を選択
- 最大5つまで組み合わせ可能
- 過去の運用実績ベースで、積立・一括投資をした場合の資産推移を確認
「このファンドとあのファンドを6:4で組み合わせたらどうなったか」「リバランスありとなしで結果はどう変わるか」といったポートフォリオの最適化に使えます。


- 画面は三菱UFJアセットマネジメントの「シミュレーション・ツール」より
私の場合、S&P500・オールカントリー・NASDAQ100の組み合わせで過去の実績をベースに積立・取り崩しの結果を検証しました。「過去データとはいえ、自分の組み合わせで試せる」というのは、他のツールにはなかなかない感覚です。
このツールだけでは足りない部分
最初の1本としては本当に優秀なのですが、これ1つで退職の判断まで持っていけたかというと、そうではありませんでした。実際に使っていて「ここは扱えないな」と感じたのは次の3点です。
- ライフイベントは入れられない/教育費、住宅のリフォーム、介護費用といった「いつか来るかもしれない支出」は、このツールの入力項目にありません。ここはスマートライフデザイナーのようなライフプラン型のアプリのほうが向いています。
- 自分の家計の事情は反映できない/年金をいつから受け取るか、住宅ローンを繰上返済するか、退職後の健康保険料をいくら見るか——このあたりは我が家の事情そのもので、汎用ツールの枠には収まりませんでした。
- 「何歳まで」を年単位で積み上げられない/私が最終的に知りたかったのは、2070年までの家計を1年ずつ積み上げた結果でした。そこは前提条件を自分で決めて生成AIに計算させる方法で詰めています。
逆に言えば、この3つが必要になる前の段階では、このツールで十分だということでもあります。いきなり細かい試算から入ると、そもそもどんな前提を置けばいいのかが分からず手が止まります。私も最初にそこでつまずきました。まずここで骨格をつかむ、という順番は変わりません。
おすすめしたい方
このシミュレーションツールは、特に以下のような方に使ってほしいと思っています。
- 早期退職・セミリタイアを検討しはじめた方
- 「老後に資産が足りるか不安」という方
- 積立投資をしているが、出口のイメージがまだない方
- 取り崩しシミュレーションをやったことがない方
登録不要・無料・スマホからも使えるので、ハードルは低いです。
私自身、ツールへ家計の条件を入力し、将来の残高を考えたことが、早期退職の不安を整理するきっかけになりました。ただ、「数字を見て安心した」という体験と、「2070年まで資産が枯渇しないと確認できた」という結論は別です。まず入力条件と、結果に含まれないものを確かめることが大切だと考えています。
※この記事の内容は個人の資産運用・シミュレーションの記録であり、投資を推奨するものではありません。投資は元本割れ等のリスクを伴います。実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。
2026年10月6日の追記・訂正
残高の表示を将来の安全性の検証とした説明を修正しました。当時の入力・出力を再確認できないことを明記し、ツールの役割を条件整理と結果の見比べに限定しています。
2026年10月6日再補正:関連する試算記事の表・グラフを当時の記録として戻したことに合わせ、説明を整えました。計算結果の保証や、制度の誤りを復活させるものではありません。

