33年間の会社員生活に区切りをつけ、最終出社日を迎えました。事務処理に追われてあっという間に過ぎた一日でしたが、ビルを出て振り返った瞬間、感謝と寂しさが一度に押し寄せてきました。最終日の記録と、「年齢で辞めない時代」の退職について感じたことを書いておきます。
33年間の会社員生活に区切りをつけ、最終出社日を迎えました。
この日が来ることは、ずっと前からわかっていました。それでも実際に迎えてみると、思っていたのとは少し違う一日でした。
バタバタと過ぎていった最終日
最終日は、勤怠や交通費の精算、貸与品であるPCやスマートフォンの返却など、各種の事務処理に追われ、あっという間に時間が過ぎていきました。思っていたほど感傷に浸る余裕もなく、淡々と時間が流れていった、というのが正直なところです。
退社の直前には、当日出社していた関係者の方々に、一人ひとり簡単ではありますが挨拶をさせていただきました。直接顔を見て言葉を交わすことで、ようやく一区切りついたのだという実感が少しずつ湧いてきたように思います。
関係者や仲間への挨拶は送別会などで事前に済ませていたため、最終日は区切りとしてのメールを送り、月末の業務の邪魔にならないよう、静かにフェードアウトする形で会社を後にしました。6月に入ってからのフェードアウトの日々の、その締めくくりという感覚でした。
ビルを振り返った、その瞬間
会社を後にし、外に出たとき、ふと振り返って見た自社ビルや周りの風景。その瞬間、これまでの年月が一気に思い出されました。
この会社で長い時間を過ごし、さまざまな経験をさせてもらったのだという実感とともに、ここまでやってこられたことへの感謝の気持ちが自然と湧いてきました。同時に、もうここに来ることはないのだろうと思うと、やはり少し寂しさも感じました。年度末を迎えたときに感じた「悲しくはない、でも寂しい」という気持ちが、最終日にもう一度、静かに戻ってきた感覚です。
私の場合は早めに退職の意向を伝えていたこともあり、4月以降は段階的に引き継ぎや整理を進めることができました。そのため、最終日に急に寂しさが押し寄せるというよりも、4月・5月・6月と時間をかけて仕事と距離を取りながら、次の生活に向けた準備ができたことが大きかったのだと思います。
33年間で得たもの
改めて振り返ると、本当に多くの方々と関わり、連携し、さまざまな刺激を受ける中で、自分自身も成長することができました。組織変更で苦しい思いをしたこと、単身赴任、勤務地の変更、仕事内容の変化など、決して楽なことばかりではありませんでしたが、今となってはそのすべてに意味があり、自分にとって大切な経験だったと感じています。
入社当初は右も左も分からず、先輩の後ろについて回るだけでした。少し仕事を覚えると自分を過信してしまう時期もありました。その後、一人前として成果を求められるようになり、管理職となり、さらに立場が変わるにつれて、求められる役割は大きく変わっていきました。人事や組織の方向性を考え、他部門との調整、さらには会社間の調整など、責任の範囲も広がり、常に新しい課題に向き合い続けてきました。
その中でも特に印象に残っているのは、部下の成長です。多くの部下の結婚式に参加して挨拶をさせてもらい、人生の節目に立ち会えたこと。昇格し、それぞれがステップアップしていく姿を見られたこと。自分自身の成長ももちろん嬉しいものでしたが、それ以上に、関わった人たちが成長し、活躍していくことが何よりの喜びでした。それこそが、この仕事を通じて残せた一つの成果だったのではないかと感じています。
家族への感謝
また、家族の支えがなければ、ここまで続けることはできませんでした。仕事で帰りが遅くなったり、出張が続いたり、単身赴任をしたりと、家庭には多くの負担をかけてきました。その中でも変わらず支えてくれた妻には、特に感謝しています。2〜3年かけて早期退職について対話を重ねてくれたことも含めて、最後まで理解者でいてくれたことは大きな支えでした。子どもたちにも、仕事に向き合う姿を多少なりとも見せることができたのではないかと思っています。
会社に対しては、AIによる業務改革、その影響による業務や業績、ベテランメンバーの今後、若手の定着、そして人材不足など、いくつか気になる点もあります。ただ、それらを乗り越えて、今後も発展していってほしいと願っています。
「年齢で辞めない」時代の退職
そして、これからの「退職」という考え方についても、感じていることがあります。
これまでは60歳や65歳といった年齢を一つの区切りとするのが一般的でしたが、価値観が多様化し、寿命や健康寿命が延びている現代においては、「年齢」だけを基準にする時代ではなくなってきているのではないかと思います。
これからは、「自分がどのような人生を送りたいか」「そのための準備が整っているか」といった観点で、退職のタイミングを考えることが重要になっていくのではないでしょうか。役職定年と「居場所」の問題に向き合ったときも、年齢で区切られる仕組みそのものに、どこか違和感を覚えていました。
私自身も、健康寿命や残り時間、そして資産状況といった点を踏まえて、このタイミングで次のステージに進むことを決めました。退職の時期に正解はなく、それぞれの価値観に基づいて判断していくものだと感じています。
明日からは、次のステージ
そして、明日からは次のステージです。
各種手続きは確実に進めつつ、これからの生活では、生活リズムを崩さず規則正しく過ごすこと、適度な運動を続けること、家事にも関わること、そして新しいことにも積極的に取り組んでいきたいと考えています。「何するの?」と聞かれたときに答えてきたように、ボランティアやスポーツ観戦など、これまでなかなかできなかったことにも時間を使い、有意義な毎日を過ごしていきたいと思います。
最後に、退職の挨拶メール
最後に、退職の挨拶としてお送りしたメール(一部省略)を記しておきます。
様々な立場の方への挨拶のため、無難で面白みのない文面になってしまったようにも感じていますが、これも私らしいかなと。
件名:退職の挨拶
皆様
お疲れ様です。
私事で恐縮ですが、本日をもちまして退職することとなりました。
在職中は大変お世話になり、心より感謝申し上げます。振り返りますと、1993年に入社してから33年、時代の変化とともに実に多くのことを経験させていただきました。順風満帆な時ばかりではありませんでしたが、その一つひとつが私の貴重な財産となっております。
これもひとえに、皆様からいただいた温かいご支援とご協力のおかげです。多くの方々に支えていただいたからこそ、充実した社会人人生を送ることができました。
このたび、今後の人生について改めて考え、定年より少し早めではありますが、次のステージに進むことを決意いたしました。
皆様とご一緒にお仕事ができたことを、大変誇りに思っております。今まで本当にありがとうございました。
末筆ながら、皆様のご健康とご多幸、そして会社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
退職直後の今、一区切りとしての実感とともに、次のステージに向けて予定通りにスタートを切り始めた——そんな心境です。これまでの33年間を支えてくださったすべての方々に、改めて感謝申し上げます。

