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退職する年・翌年・通常年でふるさと納税の上限額はこんなに違う|3パターン比較で正しく試算する方法

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📌 この記事でわかること

  • 退職年・退職翌年・通常年でふるさと納税の上限額がどう変わるか
  • シミュレーターへの正しい入力方法(給与+賞与、退職金は含めない)
  • 退職翌年に上限額がほぼゼロになる理由

退職前後の数年間は、収入構成が大きく変わります。通常年と同じ感覚でふるさと納税の上限額を見積もると、思わぬ損失につながります。「通常年」「退職年」「退職翌年」の3パターンについて、賞与の扱いも含めて、なぜ上限額が変わるのかを仕組みから解説します。

ふるさと納税は、上手く使えば自己負担2,000円で返礼品を受け取りながら税金を控除できる、使わないと純粋に損な制度です。ところが退職前後の数年間は、収入構成が大きく変わります。通常年と同じ感覚で上限額を見積もってしまうと、思わぬ損失につながることがあります。

私自身、退職年に上限を大幅に超えて寄附してしまうミスをやらかしました(詳細はこちらの記事)。同じ失敗をしてほしくない、という思いからこの記事を書いています。

今回は「通常年」「退職年」「退職翌年」の3パターンについて、賞与(ボーナス)の扱いも含め、なぜ上限額が変わるのかを仕組みから丁寧に解説します。

まず、ふるさと納税の仕組みをおさらい

ふるさと納税とは

ふるさと納税は、自分が選んだ自治体に「寄附」をすることで、返礼品を受け取りながら税金の還付・控除が受けられる制度です。たとえば1万円を寄附すると、自己負担は2,000円のみで、残りの8,000円は所得税・住民税から控除されます。実質2,000円の自己負担で返礼品を受け取れる仕組みです。

ただし「2,000円で済む」のは、控除上限額の範囲内で寄附した場合だけです。上限を超えた分は控除されず、そのまま自己負担になります。

控除の流れはシンプルです。年間を通じて寄附を行い、翌年に確定申告(またはワンストップ特例)で申告すると、所得税から還付・住民税から翌年度分が控除されます。

上限額は何で決まるか

ふるさと納税の控除上限額は、その年の住民税の所得割額をベースに計算されます。住民税の所得割額は、その年の給与所得などをもとに決まります。ここでいう給与所得には、月次の基本給だけでなく賞与(ボーナス)も含まれます

一方、退職金はこの上限計算の対象外です。詳しくは後述しますが、これが退職年のミスの最大の原因になります。賞与は計算に含まれ、退職金は含まれない——この違いが非常に重要です。

3パターンの比較:前提条件

今回は以下の前提条件で比較します。賞与の構成も含めて整理しておきます。

項目設定値
給与収入(通常年)年700万円
内訳(月次給与)年400万円(月約33万円)
内訳(夏季賞与)150万円(6月支給)
内訳(冬季賞与)150万円(12月支給)
勤続年数33年
退職金約2,400万円(退職年のみ)
退職時期6月末(夏季賞与は受取可、冬季賞与は受取不可)
社会保険料給与収入の約14%と仮定

パターン1:通常年(年収700万円・フル勤務)

通常年、つまり年間を通じて給与収入が安定している年のふるさと納税上限は、年収700万円の場合で目安として約10〜11万円程度です。月次給与も夏季・冬季の賞与も、すべて給与収入に含まれます。

おおまかな計算の流れは次のとおりです。給与収入700万円から給与所得控除(180万円)を引いて給与所得は520万円。社会保険料控除(約98万円)・基礎控除(48万円)などを差し引くと課税所得は約370万円前後になります。この課税所得に基づいて住民税の所得割額を求め、そこからふるさと納税の上限額を逆算すると、目安は10〜11万円となります。

配偶者控除・扶養控除・社会保険料の実額などによって変わるため、あくまで概算です。

パターン2:退職年(6月末退職の場合)

退職年は複雑です。通常年との違いを生む落とし穴が4つあります。

落とし穴1:給与収入が半年分しかない

6月末退職であれば、月次給与は1〜6月の6ヶ月分だけです。本来なら年400万円ある月次給与が200万円に半減します。住民税の所得割額の計算ベースが当然下がるため、上限も下がります。

落とし穴2:退職金は上限計算に含まれない

退職金は「退職所得」として分離課税され、給与所得とはまったく別の税計算になります。退職所得にかかる住民税は、会社が「特別徴収」として一括納付するため、翌年の住民税所得割の計算には含まれません。

つまり、退職金が2,400万円あっても、ふるさと納税の上限計算には1円も算入できないのです。「退職金が入る年だから上限が大きいはず」は完全な思い込みです。

落とし穴3:受け取れる賞与だけが計算対象になる

賞与は退職金とは異なり、給与収入に含まれるため、ふるさと納税の上限計算に影響します。ただし重要なのは、退職年に実際に受け取った賞与だけが対象という点です。

6月末退職の場合:

  • 夏季賞与(6月支給):退職前に支給されるため、通常は受け取れます。給与収入に含まれ、上限計算に反映されます。
  • 冬季賞与(12月支給):退職後のため受け取れません。上限計算にも含まれません。

したがって、退職年(6月末退職)の給与収入は「月次給与の半年分+夏季賞与」になります。夏季賞与の金額が大きいほど上限は高くなり、夏季賞与が少ない場合は上限も下がります。

※会社の就業規則によっては、夏季賞与の支給日に在籍していることを条件としている場合があります。6月末日が支給日であれば問題ありませんが、7月以降に支給される会社では受け取れないケースもあります。在籍中に確認しておくことをおすすめします。

落とし穴4:ワンストップ特例が事実上使えない

通常、5自治体以内の寄附であれば確定申告不要の「ワンストップ特例制度」が使えます。しかし年途中で退職し年末まで再就職しなかった場合、源泉徴収された所得税の還付を受けるために確定申告が必要になります。確定申告をする場合はワンストップ特例の申請が無効になるため、ふるさと納税分も確定申告で申告しなければなりません。退職翌年の確定申告に向けて、寄附金受領証明書をきちんと保管しておく必要があります。

退職年の上限目安(夏冬均等の賞与パターンの場合)

項目金額(概算)
月次給与(1〜6月)約200万円
夏季賞与(6月・受取可)150万円
冬季賞与(12月・受取不可)0円
退職年の給与収入合計約350万円
給与所得控除後の給与所得約237万円
各種控除後の課税所得約140万円前後
住民税の所得割額約14万円前後
ふるさと納税の上限目安約3〜4万円程度

退職金が2,400万円あっても、通常年の10〜11万円から大幅に減ります。

賞与の配分パターンで上限はこう変わる

夏季賞与と冬季賞与の配分は会社によって異なります。退職年(6月末)に受け取れるのは夏季賞与だけなので、その金額によって上限がかなり変わります。年収700万円の条件で試算すると、次のとおりです。

賞与の配分(年収700万円ベース)退職年の給与収入上限目安
夏季賞与多め(夏200万・冬100万)約400万円約4〜5万円程度
夏冬均等(夏150万・冬150万)約350万円約3〜4万円程度
冬季賞与多め(夏100万・冬200万)約300万円約2〜3万円程度

賞与の配分次第で上限額が1〜2万円程度変わることがわかります。「例年どおり申し込む」と上限を超えやすいため、自分の賞与構成をきちんと把握したうえで試算することが大切です。

※いずれも社会保険料・扶養控除の有無・その他控除の状況によって変わります。収入水準が高いほど上限額も上がります。年末に源泉徴収票が確定した段階で、必ずシミュレーターで再計算してください。

パターン3:退職翌年(収入が激変する年)

退職翌年は、収入構成が大きく変わります。給与所得はゼロになり、代わりに失業手当・配当収入などが中心になります。賞与もゼロです。

ふるさと納税の上限額が激減する理由

失業手当(雇用保険の基本手当)は非課税所得のため、住民税の計算には含まれません。配当収入についても、証券口座の源泉徴収で完結させる(申告不要)選択をした場合、住民税所得割の計算には反映されません。

つまり退職翌年の給与所得がゼロの場合、ふるさと納税の控除ベースとなる住民税所得割が非常に小さくなります。上限の目安は数千円〜1万円程度、場合によっては事実上ゼロです。

自己負担2,000円を考えると、上限が1万円以下の年にふるさと納税をするメリットはほとんどありません。「退職翌年はふるさと納税を積極的に行う意味が薄い」というのが現実的な判断です。

※配当収入を確定申告で申告する場合は、配当所得が住民税所得割に加算され上限が増えるケースがあります。ただし住民税負担も同時に増えるため、ふるさと納税のメリットと合わせて慎重に比較することをおすすめします。

3パターンの比較まとめ

パターン上限目安ワンストップ特例注意点
通常年(年収700万・フル勤務)10〜11万円程度○ 使える(5自治体以内)月次給与+夏・冬賞与がすべて対象
退職年(6月末退職・同上)2〜5万円程度(賞与配分による)× 使えない(確定申告が必要)退職金は対象外。夏賞与のみ対象
退職翌年(給与収入ゼロ)数千円〜1万円程度失業手当は非課税。実質メリットほぼなし

退職年は通常年の3〜5分の1以下に上限が下がり、退職翌年はさらにほぼゼロになります。「毎年同じくらいやれば大丈夫」という感覚が最も危険です。

実際にやらかした話:私の場合

こちらの記事でも詳しく書きましたが、私は退職年のふるさと納税で、上限額を大幅に超えて申し込んでしまいました。

項目金額
正しい上限額約90,000円
実際の申し込み額約150,000円
超過額約60,000円
実質的な追加自己負担(概算)約18,000〜22,000円

なお、私の退職年上限が約9万円となっているのは、私自身の収入構成(賞与の水準を含む)が上記の試算例(年収700万・半年分350万)とは異なるためです。収入水準や賞与配分が異なれば上限額も変わります。どのケースでも、必ず自分の実際の収入に基づいてシミュレーターで計算することが不可欠です。

「退職金が入るから枠が増えるだろう」という思い込みが判断を誤らせました。退職金と給与収入(賞与含む)は税計算上まったく別の扱いになる——この認識がなかったことが原因です。

退職年のふるさと納税を正しく使うための3ステップ

ステップ1:年末に源泉徴収票が出てからシミュレーターで再確認する

退職年は年途中で収入が確定するため、年末まで給与収入の正確な金額がわかりません。早めに申し込みたい気持ちはわかりますが、年末の源泉徴収票が出てから上限額を再計算し、超過していないか確認することを強くおすすめします。

シミュレーターはふるなびの控除上限額シミュレーターが、入力項目がシンプルで確認しやすいです。源泉徴収票の数字をそのまま入れて、年末に最終チェックしておきましょう。

ステップ2:シミュレーターへの正しい入力方法を把握する

ふるなびやさとふるなどの上限額シミュレーターに退職年の数字を入力するときは、次の点に気をつけてください。

  • 「給与収入」に入力する金額:月次給与(1〜6月分)+夏季賞与(受け取った分)の合計額を入力します。
  • 退職金は絶対に含めない:退職金は分離課税のため、給与収入には含めません。入力してしまうと上限が大幅に過大になります。
  • 冬季賞与も含めない:退職年に受け取っていない冬季賞与は、当然ながら含めません。

「給与収入700万円」と入力したくなる気持ちはわかりますが、退職年に実際に受け取った金額(月次+夏賞与)を入力することが正確な試算につながります。

ステップ3:確定申告の準備をセットで進める

退職年はワンストップ特例が使えないため、翌年の確定申告でふるさと納税分の控除を申告する必要があります。寄附ごとに発行される「寄附金受領証明書」を必ず保管しておきましょう。ふるなびなどの電子申告対応サービスを使うと、確定申告との連携がスムーズです。

退職後のふるさと納税はどう考えるか

退職翌年以降は、収入構成によって上限額が大きく変わります。

  • アルバイト・業務委託収入がある場合:給与・事業所得が生じれば、その分だけ上限額が回復します。
  • 配当収入を確定申告する場合:申告した配当所得が住民税所得割の計算に含まれ、上限が増えるケースがあります。ただし住民税負担も同時に増えるため、ふるさと納税のメリットと合わせて慎重に比較することをおすすめします。
  • 収入がほぼゼロの場合:上限はほぼゼロと考えるのが現実的です。

退職後の収入構成が確定したら、その年の実情に合わせて「今年はやるべきか・いくらまでか」を毎年ゼロから考える習慣が大切です。

まとめ:3パターン比較の要点

退職を前後する数年間のふるさと納税は、「例年通りやれば大丈夫」という油断が一番危険です。この記事の要点を振り返っておきます。

  • 退職年の上限額は、年収700万円で6月末退職した場合、賞与の配分によって2〜5万円程度に収まる。通常年(10〜11万円)から大幅に減る。
  • 賞与は給与収入に含まれ上限計算に反映されるが、退職後に受け取れない冬季賞与は含まれない。
  • 退職金は分離課税のため、いくら多くても上限計算に含まれない。
  • 退職年はワンストップ特例が使えず、確定申告が必要になる。
  • 退職翌年は収入が激変し、上限額が事実上ほぼゼロになるケースがほとんど。
  • シミュレーターには「月次給与(退職月まで)+受け取った賞与」の合計を入力し、退職金は含めない。

退職前後のふるさと納税は、正しく使えば数万円分の恩恵を受けられる場面もある制度です。一方で、仕組みを誤解したまま動くと私のように損をします。退職後の手続き全体のスケジュールと合わせて、ふるさと納税の上限確認も早めに組み込んでおくことをおすすめします。

これからふるさと納税のサイトを選ぶ方は、返礼品の検索がしやすく控除上限額シミュレーターも揃っているふるなびが候補になります。退職年は上限額の見積もりが狂いやすいので、シミュレーターを使い倒すのがおすすめです。

普段から楽天のサービスを使っている方は、寄附額に応じて楽天ポイントが貯まる・使える楽天ふるさと納税という選択肢もあります。

※この記事の内容は個人の手続き記録であり、税務・社会保険に関する公式なアドバイスではありません。制度は改正される可能性があるため、最新情報は税務署・年金事務所等の公式窓口でご確認ください。

📋 退職の手続きを時系列で整理した「退職の手続きまとめ」もあわせてご覧ください。

著者プロフィール
もも吉

33年間、IT企業で技術職・管理職として働いてきました。神奈川県在住、妻と大学生の子と3人暮らし(もう1人の子は社会人として独立) 2018年から投資を始め、資産形成を続けてきましたが、役職定年・職場での消耗・健康寿命への意識が重なり、2026年6月に56歳で早期退職しました。このブログは、その決断と準備の記録です。

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