退職後しばらくすると、退職金が振り込まれます。「さあ、目標ポートフォリオに向けて一気に投資へ回そう」と思いたいところですが、私はそうしないことにしました。
理由は2つ──順序リスクと、退職年の税金の不確実性です。この記事では、退職後のNISA・iDeCo・国債について、私が決めた投資方針を整理しておきます。
目標ポートフォリオはあるけれど、すぐそこには向かわない
我が家の目標ポートフォリオは、我が家のポートフォリオ公開でも書いた通り、次のような構成です。
- 現金:1,000万円
- 個人向け国債(10年変動):500万円
- 残りはリスク資産(インデックス投信+個別株)
現金と国債で1,500万円のバッファを確保し、残りを投資に回す設計です。ただし、退職直後にこの配分へ一気に持っていくつもりはありません。理由を順に書いていきます。
理由① 順序リスクを避けたい
「順序リスク」とは、資産の取り崩しを始めた直後に相場が大きく下落すると、その後に相場が回復しても資産寿命が大幅に縮まってしまうリスクのことです。同じ平均リターンでも、リターンが現れる「順番」によって結果が大きく変わる、という意味で順序リスクと呼ばれます。
退職直後はキャッシュフローが弱くなるタイミングでもあります。ここで一括投資をして、もし下落局面に巻き込まれると、生活費を捻出するためにマイナス圏で売らざるを得なくなるかもしれません。それを避けたいので、退職直後はリスク資産への一気投資ではなく、徐々に目標に近づける方が安全だと判断しました。
理由② 退職年の税金に想定外がありうる
退職年は、退職金・給与・配当など収入の構造が例年と大きく異なります。住民税や所得税の最終的な額は、確定申告が終わるまで正確にはわかりません。ふるさと納税の上限を読み違えた話でも書きましたが、退職年は思わぬところで税金が膨らむことがあります。
「思ったより税金がかかった」というケースに備え、手元資金に余裕を持たせておく方針にしました。リスク資産に振り向ける前に、まずは税金の着地点が見えてから動きたいと考えています。
NISAは満額埋める
「ゆっくり投資」とはいっても、NISAの非課税枠は迷わず満額を使いきる方針です。
積立投資枠(上限:120万円/年/人)
毎月10万円を積立します。私は退職金から、妻は給与から拠出します。購入商品はこれまでと同じ2本立てです。
| ファンド | 比率 |
|---|---|
| eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 50% |
| eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 50% |
成長投資枠(上限:240万円/年/人)
こちらはまず、旧NISA(一般NISA)で5年の非課税期間が終了した銘柄を、新NISAで買い直すことを優先します。
旧一般NISAは非課税期間が5年で、期間終了後は課税口座に払い出されます。放置すると以後の値上がり益・配当に課税されてしまうため、順次売却して新NISAで買い直し、非課税のまま運用を続けます。
買い直し後も240万円の枠が余る年は、追加投資を行います。購入商品は積立投資枠と同じS&P500とオール・カントリーを軸に、目標ポートフォリオの配分に近づくよう比率を調整します。私は退職金から、妻は給与から拠出します。
保有しているNASDAQ100は今後の新規買い増しはせず、既存保有分の値動きとリバランスで全体配分を整える形にする予定です。詳しいリバランスのルールはリバランスの鉄則:退職後の資産を守る運用ルールに書いています。
これからSBI証券でNISAを始める方は、ポイントサイトのハピタス経由で総合口座の開設(5万円以上の入金)やNISA口座の開設がポイント対象になっています。※当サイトの紹介リンクです。条件・ポイント数は各案件ページでご確認ください。
iDeCoは私と妻で方針が異なる
iDeCoについては、私と妻で取る方針がまったく違います。退職金の有無で最適解が変わるためです。詳しい背景は企業型DCをiDeCoに移換して60歳から20年間・年金で受け取ることにした理由に書いていますが、ここでは投資方針の部分だけ整理しておきます。
私のiDeCo:2026年は拠出、2027年から運用指図者へ
企業型DC(約1,300万円)はSBI証券のiDeCoに移換します。受け取り方は60歳から20年・年金受け取りで固めていますが、移換後の「拠出するかどうか」については、2026年と2027年以降で方針を分けることにしました。
2026年は、1〜6月の給与所得がまだ残ります。この期間にiDeCoに拠出すれば、掛金全額が所得控除の対象となり、所得税・住民税の負担を軽減できます。せっかく所得がある最後の年なので、iDeCoの節税効果を活かす方が合理的だと判断しました。
具体的には次のとおりです。
- 2026年:加入者として、制度上の上限まで拠出(退職後は第1号被保険者となるため、上限は月68,000円)
- 2027年:1月から運用指図者に切り替え、追加拠出はゼロにする
2027年以降は所得がほぼゼロになり、所得控除しても税負担が減らないため、iDeCo最大のメリットが機能しなくなります。NISAの枠も私・妻とも使い切る見込みなので、追加拠出をやめて運用指図者に切り替える方が合理的です。
※注意点として、退職後にiDeCo口座が開設できるまでには2〜3か月かかるため、2026年内に実際に拠出できる月数は限られそうです。最速でも秋口からの拠出開始を見込んでいます。口座開設の進み具合は退職後の手続き完全ガイドで随時報告します。
妻のiDeCo:現在月23,000円、2027年に増額予定
妻のiDeCoは現在、月23,000円(現行上限いっぱい)で積立中です。妻には退職金制度がないため、将来iDeCoを一時金で受け取ることで退職所得控除を活用する設計にしています。
妻は会社員(第2号被保険者)として勤務を続けるため、2027年1月引き落とし分(2026年12月拠出分)から、iDeCoの拠出限度額が引き上げられる対象になります。企業型DC・DBのない会社員の場合、上限は月23,000円から月62,000円へ引き上げられる見込みです。変更後は月62,000円まで増額し、退職所得控除をより有効に活用する方針です。
※専業主婦(夫)などの第3号被保険者は、改正後も月23,000円のまま据え置きの見込みです。増額の対象となるのは、会社員として厚生年金に加入している第2号被保険者です。我が家では妻が会社員のため対象になります。 ※拠出上限額・施行時期は2027年施行予定のもので、2026年12月/2027年1月という情報が混在しています。最新の制度内容は必ずご確認ください。
iDeCoの運用商品
私・妻ともに、iDeCoの運用商品は同じ方針で揃えています。
| ファンド | 比率 |
|---|---|
| eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 50% |
| eMAXIS Slim 全世界株式(日本除く) | 50% |
NISAでは「オール・カントリー(日本含む)」を使っていますが、SBI証券のiDeCoでは日本を含む全世界株式の取り扱いがありません。そのためiDeCoだけは「日本除く全世界」を選んでいます。S&P500だけでは米国集中になるため、全世界も組み合わせてバランスを取る形です。
国債は退職金の入金と税金見込みを確認しながら段階的に
個人向け国債(目標500万円)は、退職金が実際に振り込まれてから、税金の支払い見込み額も確認しつつ、少しずつ購入していく予定です。一括ではなく、手元の状況を見ながら慎重に進めます。
国債は元本割れがなく、いざというときの取り崩し弾としても使いやすい資産です。ポートフォリオの「守る部分」として、現金1,000万円と合わせて1,500万円のバッファを構築していきます。
退職後の投資方針まとめ
改めて、今回決めた方針を一枚の表にまとめます。
| 項目 | 方針 |
|---|---|
| NISA積立投資枠 | 毎月10万円×2人。私は退職金、妻は給与から |
| NISA成長投資枠 | 旧NISA(5年経過分)の買い直しを優先。余れば追加投資 |
| NISAの購入商品 | eMAXIS Slim S&P500 50% + オール・カントリー 50% |
| 私のiDeCo | 企業型DCを移換。2026年は加入者として拠出(節税狙い)、2027年から運用指図者へ |
| 妻のiDeCo | 現在月23,000円 → 2027年制度改正後に月62,000円へ増額予定 |
| iDeCoの運用商品 | eMAXIS Slim S&P500 50% + 全世界株式(日本除く)50% |
| 個人向け国債 | 退職金入金・税金確認後に段階的に購入 |
| 全体方針 | 一気に目標配分にはせず、順序リスクと税金不確実性を見ながら段階的に近づける |
退職直後は想定外の支出や手続きが多く、税金や生活費の着地点もまだ見えません。だからこそ、NISAやiDeCoのように「枠を使い切らないと損をするもの」は迷わず満額を狙い、国債のように「自分のタイミングで動かせるもの」はゆっくり進める、というメリハリをつけました。
焦って動かず、少しずつ目標ポートフォリオに近づけていく。それが、退職直後の私のスタンスです。実際の動きや見直しは、このブログでも随時記録していきます。
※この記事の内容は個人の運用記録であり、投資を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任でお願いします。また制度(NISA・iDeCo・税制)は今後変更される可能性があるため、最新情報をご確認ください。
📋 退職の手続きを時系列で整理した「退職の手続きまとめ」もあわせてご覧ください。

